スカートにクロス・シミュレーション〈その2〉

メッシュの構造が複雑な部分は形状が維持できない
前回の「スカートにクロス・シミュレーション〈その1〉」に引き続き、クロス・シミュレーションについて投稿したいと思います。

トゥーンレンダリングなので目立ちませんでしたが、前回のようにスカートのオブジェクトに対して直接クロス・シミュレーションを設定すると、メッシュの構造が複雑な部分は形状が維持できなくなってしまいます。
そこで今回は、前回とは別の手法でスカートにクロス・シミュレーションを設定し、その辺の問題を解消していきたいと思います。

クロス・シミュレーション用のオブジェクト
今回は、スカートに直接クロス・シミュレーションを設定せず、新たにクロス・シミュレーション用のオブジェクトを用意してそれに対して設定を行います。クロス・シミュレーション用オブジェクトは、ベースとなるスカートのオブジェクトを覆うように作成します。
後は、ベースとなるスカートのオブジェクトを追尾させれば完了です。

メッシュ変形(MeshDeform)モディファイアを設定
クロス・シミュレーション用オブジェクトにスカートを追尾させる方法としては、ボーンを作成してIKで制御する方法があるようです。(実際に試したことはないので詳しくは解りかねますが・・・)しかしここでは敢えて別の方法を試してみたいと思います。

追尾には「メッシュ変形(MeshDeform)」モディファイアを使用します。「メッシュ変形(MeshDeform)」モディファイアは、指定したオブジェクトに合わせてメッシュを変形させることが可能です。「ラティス(Lattice)」モディファイアとは異なり任意の形状のオブジェクトを指定することができます。
因みにモディファイアパネルの[バインド]をクリックすることで、関連付けを実行することができます。
厚み付け(Solidify)モディファイアでクローズドメッシュに変換
尚、「メッシュ変形(MeshDeform)」モディファイアを設定できるのは、クローズドメッシュ(面で閉じられた形状)に限るため、事前に「厚み付け(Solidify)」モディファイアを適用してクローズドメッシュに変換しておきます。
rule
コリジョンのソフトボディとクロス:外側
クロス・シミュレーション用オブジェクトは、スカートを覆うように作成しています。つまり実際のスカートより外側に配置されているためスカートがそれを追尾した場合、ボディが突き抜けてしまう場合があります。その点は、ボディに対して設定されている「コリジョン」の[ソフトボディとクロス:外側]で調整します。

また、ベースとなるスカートのオブジェクトはクロス・シミュレーション用オブジェクトを追尾するため、骨格(Armature)とのペアレント設定は不要です。代わりにクロス・シミュレーション用オブジェクトに対して、骨格(Armature)とのペアレント設定を行います。

スカート「クロス・シミュレーション」比較
前回のスカートのオブジェクトに直接クロス・シミュレーションを設定した場合と、今回のクロス・シミュレーション用オブジェクトを別に用意して間接的にクロス・シミュレーションを設定した場合の比較がこちら。
一応今回の場合は、裾のレースの形状が維持できていると思います。しかし、クローズドメッシュにする必要があったりと両者メリット、デメリットがあるので、どちらの手法を選択するかはお好みといったところでしょうか。


前回のアニメーションとほとんど代わり映えしませんが、念のためアップいたしました。

スカートにクロス・シミュレーション〈その3〉」へ続く


You may also like...